DOCTOR WHO
『DOCTOR WHO』
イギリスの国民的SFコメディドラマ。
【あらすじ】
青いポリスボックス型の宇宙船"ターディス"に乗り、時空を旅する"ドクター"。
行く先々でトラブルに首を突っ込んでは、さらにトラブルを大きくし、
毎回命の危機に晒されながらも、あの手この手でなんとか生き残る。
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日本で生まれ、日本で育ってきた私の、
"ヒーロー"の概念を根底から覆した作品。
嘘はつく。
ルールは破る。
そして必殺技は、逃げる。
逃げる、逃げる、逃げる。
何があってもとにかく逃げまくります。
イギリスで50年以上も愛され続けている国民的SFコメディ。
きっとあのファンタジーの巨匠JKローリングも、
ドクターの冒険を見て育ったに違いないでしょう 。
国民的SFコメディだからと言って、
日本のそれを思い浮かべて観ると度肝抜かれます。
まず、設定や展開がとにかくぶっ飛んでいます。
とにかく訳のわからない科学用語をドクターはペラペラと捲し立て、
そしてそれらの言葉には、基本的に何の繋がりも発展も意味もありません。
ビッグ・ベンはもう何度崩壊してるかわかりませんし、
あ、あと宇宙自体が何度か滅亡しています。
でも、どれもドクターが巧妙な手で解決し、
最後はみんな何事も無かったように平和に暮らしています。
何だかこう書いてみると、日本で深夜にひっそりやって
ワンシーズンで人知れず終わるアニメみたいなプロットですが、、、
これが50年以上続くイギリスの国民的ドラマだという所で、
イギリスという国のサイケデリックさを垣間見た気がして、
正直、恐れ慄きますね。
とはいえこのドラマが長い間、高い人気を保っているのは、
展開はぶっ飛んでいながらも、
物語のテーマは常に地に足のついた現実的な問題だからでしょう。
その為子供だけでなく、大人もその世界観に入り込むことができます。
『DOCTOR WHO』を観ていると、
時には大人でも答えを出すのが困難な複雑な問題を問われます。
善とは何か、悪とは何か。
窮地に立たされた時に、
何が最善の選択なのか、何を犠牲にするべきか。
ドクターはその問題に立ち向かい、彼が最善と思う決断を下しますが、
その決断でいつも全ての人が救われるわけではありません。
というか、4割型恨まれています。
また、彼が善かれと思って下した決断のせいで、事態が更に悪化することもあります。
それで、そのせいでまた非難されます、、、笑。
なんというか、、、
SFコメディと軽く銘打っておきながら、
"英雄の苦い現実"というものを物凄く辛辣に感じることが出来る深いドラマです。