井の中の蛙、海外をただ観る

主にイギリスドラマ。映画も好きです。ドラマで得た海外の知識、調べた小ネタなど。

ドクター・フーファンはブロードチャーチを見るべきかどうか

ドクター・フー』ファンとして、

『ブロードチャーチ』ほど観るかどうか悩む作品は無い。

 

なぜならこの作品には、2人もの"ドクター"が出てるからだ。

 

まず、メインキャストの刑事役を務めるのは、

10代目ドクターを演じ、歴代最高ドクターとまで謳われた、

(そして殆どの視聴者はそれに異論はないと思う。

それほどまでに誰が見ても完璧な"エイリアンっぷり"だった。)

デイビッド・テナント

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そして、これまたメインキャスト、殺された少年の母親役を務めるのは、

ドクター・フー』ファンの中で大議論を引き起こし、未だその渦中の人。

当たっても外れても、必ず英国ドラマ界の歴史にその名が残るであろう大役、

"初の女性ドクター"に抜擢された、

ジョディ・ウィテカー

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あの"伝説のドクター"の記憶がまだ新しいまま、

デイビッド・テナントの"ただの人間"の役を受け入れることができるのだろうか?

(ドクター・フーで一度ただの人間に変身した時でも、赤面ものだったのに、、 、)

 

ドクターが女性というだけで、(女性であることに反論は無くとも)不安なのに、

その彼女が"普通の母親"を演じている作品を先に見て、

さらに不安が掻き立てられることはないだろうか?

 

そんな不安を抱えながら、恐る恐る観てみましたが、結論から言うと、、、

観てよかった………!!!

 

まずデイビッド・テナントの役柄は町に赴任してきたばかりの刑事。

いわゆる孤独な部外者という点はドクターと少し似ていたこともあるからか、
周りに馴染まないような彼の独特のオーラも浮かずに活かされていて

観ているこっちも、彼の存在をちょうど良い按配で"人間"へとフェードインしていけます。

 

一方、女性初のドクターに抜擢されたジョディ・ウィテカーはどうでしょうか?

彼女は美人ながらも素朴な雰囲気が残る女性で、

異性同性関わらず人気のありそうな方でした。

子どもへの愛情深い演技や、芯の強い演技などを観ていると

彼女がドクターを演じるところを自然に想像できました。

 

そして何よりこの作品で確信するのは、

クリス・チブナルの実力の高さです。

 

クリス・チブナルは次期ドクター・フーの総指揮監督を任された方で

今回ブロードチャーチの原作・脚本を担当しました。

彼が書いたら、ドクターが男だろうが女だろうが、必ず面白くなるでしょう!

 

それくらいブロードチャーチの脚本が面白かった!

 

もともと人間関係の苦い交錯を描くのが上手い脚本家の方ですが、

今回はその本領発揮といったところでしょうか。

 

ドクター・フーは監督がスティーブン・モファットになってから

仕掛けの奇想天外さや、演出のかっこよさは増したものの、

ラッセル・T・デイビスの頃にあった

苦い人間の葛藤や繊細な部分の描写が薄くなったところが、個人的には少し不満に感じていました。

 

そこで今回のような群像劇を描けるクリス・チブナルが監督になることによって、

次期ドクター・フーがどうやって変化していくのか、

ますます楽しみです。

日本で公開されるのはもう少し先になりそうですが、

まだまだドクター・フーからは目が離せそうにないです。